小売り自由化と価格

1.1 電力販売の市場開放
最近まで、東京電力や中部電力のように、発電所や送電線をもつ電力会社が地域毎に販売していました。首都圏や関東での家庭向けの電気で契約できるのは東京電力1社でした。
去年、2016年4月からは、「電力小売りの全面自由化」が始まりました。どんな会社でも電気を売れるようになったのです。

経済産業省は「電力の小売全面自由化の概要」の中で、右の4つの効果を挙げています。全国の市場規模は8兆円あるといわれています。

注: 完全自由化は送配電が自由化される2020年です。電線使用料が自由化されるので、その分安くなる可能性があります。まだ駆引き材料になってるみたいですけど。

  • 自由な電力会社の選択で、セット割引きなどの多様な料金サービスを享受
  • 市場競争による電気料金の最大限の抑制
  • 省エネ効果で電力の安定供給
  • 発電と小売りの市場の活性化

1.2 どこを選ぼうか?
今、現在小売電気事業者は300社ほどあるらしいです。どれにするかを決めるには、
1. 安いところ
2. ポイントなどの付帯サービスがあるところ
3. 信頼でき、潰れないところ
4. 違約金はない方が良い

くらいを念頭において、まずは自分とこの電気使用量を知らないといけません。使用量は人によって違うし、季節でも変わります。
でも、一応基準がないと話しが進まないので、次のようにします。

電気の使用量:
総務省の家計調査二人以上の世帯 昭和28年から続く行政による実態調査です。国民生活を把握するために、買い物内容や給料、公共料金まで、細部にわたる調査です。その中に電気やガスの代金などがあります。データベースになっているので、どういうデータなのかをわかっているなら、自分で統計処理ができるように公開されています。興味のある人はやってみてはどうでしょう?
さて、二人以上の世帯は、年頃の子供がいる一般家庭が想定されます。月別の消費量グラフを右に示します。月によって結構違いますね。(電気料金のシュミレーションができる、価格コムも月別モデルを使ってやってます。家計調査からか、東京電力からかはわかりませんが。)
その家計調査、二人以上の世帯の2015年の電気使用量は、月平均が約420kWhでした。年間使用量は5040kWhになります。

電気料金のシュミレーション:
多くの人が使っているであろうし、手軽なので、価格コムにします。ただし、月を入れるだけだと他の月はモデルに頼ってしまって誤差が大きいので、わかっているなら年間使用量がほぼ合うように、月の数値を調整します。
領収書が一年分ある人や、東京電力の「でんき家計簿」に入っている人は、ちゃんと月毎のデータを価格コムに入れましょう。

総務省家計調査 電気使用量月別グラフ

1.3 小売電気事業者のお得率
さて、その結果は次のようになります。これは、初年度の特典だけでなく、5年続けてもお得な場合になります。初年度だけだともっといいのがありますが、5年間で割引きが安定しているほうがいいかな、と思ったわけです。
細かく書くと、従量料金B、40A契約、年間電気使用量5,040kWh(月間平均消費量420kWh)の家庭が5年間同一小売り業者にした場合に、これを価格コムで調べた結果です。
適時に業者を変えるつもりなら割引率はいつも10%を越えることができるかもしれませんが、マメなことはしないこととしました。
8社が継続して実質8%以上の割引となります。
中国電力が首都圏に「越境」して来てますが、これが自由化ですね。出て来てないですが、北陸電力は付帯サービスなしで他の主要電力会社よりも月1000円ほど安いんですよ。関東まで来てほしいな~。

小売電気事業者のお得率