差別を助長する、杜撰なナイキジャパンのCM
 “The Future Isn’t Waiting.” ( You can’t stop us.)

Yahooニュースで日本の差別から立ち上がる学生をテーマにしたナイキのCMが発表されたのを知り、YouTubeで見てみました。
学校でいじめや偏見があるのは昔からで、ある意味、日本社会の反映であり、普通は差別意識は無関係です。関西の部落差別や朝鮮人学校との対立が差別の例ですが、こうした問題の地域は限られています。
ところが、ナイキのCMは差別意識が元となり学校内でいじめや偏見が発生していると描いています。これには違和感しかありません。
こうした現実遊離を伴う未消化な視点は、CMの後半に在日韓国人らしい高校生が学校の廊下を闊歩するシーンにも現れています。背中に”YAMATOTO”と背番号”5”が印刷された体操着を彼女は着ていますが、この時は、”5”の上半分を覆い隠すように金色でKIMの大きな文字が貼り付いたのを着て歩いています。
CMの作者は、彼女が仮の名字ではなくキムという元々の氏を表明した誇らかな場面を表現したものと推定しますが、はからずもCM作者が日本やコリアに無知であることを示しています。
わざとKIMと大書することは波風が立つことを避けたい在日の人を辱める行為です。日本名のシャツに乱暴にとってつけたキムの文字は逆に見せものとしていじめを受けたに等しい。
さらに、コリアの文化ではキムさんと人を呼ぶのは大変失礼なことです。きちんと氏名を言わないといけない。
つまり、キムとヤマモトを併記するのも失礼であるし、キムとしか書かないのも失礼な事です。
CMの作者はコリアや日本の人の感性や文化を考慮する事なく、自分の中の観念や信念だけでCMを作ってしまった。
作者の意図をちゃんと表現するには、いい加減に背番号5に重ねるのではなく、ヤマモトを無くし、その上に、彼女の氏名を美しいハングル文字で表現するのが、正しいと言えます。
作者が大した違いではないと思うなら、それは作者の異民族に対する傲慢さの表れです。

残念なのは、ナイキ”ジャパン”のCMであることです。日本人スタッフには、米国社会のコピーのようなCMに意見する人はいなかったのだろうか?
ノーテンキなスポーツバカを脱皮しないと俗悪なCMの垂れ流しと児童労働の搾取企業として名高いナイキの悪辣さを隠すだけになってしまう。
常に多様性を肯定するAppleのCMのレベルの高さを学習してほしいものです。

2020/12/3